ジャズ初めの一歩
「ジャズを聴いてみたいけれど、何から始めればいいか分からない」といった人たちに、ジャズの特徴や代表的アーティスト、名曲・名盤などの情報を提供するブログです。ご一緒にジャズを楽しみませんか?
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ジャズの魅力(4) −ジャズとクラシック−
ジャズとクラシック…

一見、水と油のような関係に思われるかもしれません。

私はどちらも好きな人間ですが、「好きな音楽は?」と聞かれて「ジャズとクラシックです。」と答えると、不思議そうな顔をされることが多いですね。

また、ジャズなど耳障りなだけだとして排斥するクラシックファンが存在しますし、逆にクラシック音楽、もしくはその愛好家(!)を毛嫌いするジャズマニアも皆無ではないようです。

しかしながら、ジャズとクラシックには大きな共通点があることも事実。

それは、どちらも非常にとっつきにくい音楽だと思われているため、ジャズ・クラシックともに、世界的に認知されている音楽ジャンルにもかかわらず、リスナーの数という点では極めてマイナーな存在だということです(笑)。

まあ、これは冗談ですが、以前にもちょっと書いたように、どちらも「休止符」、すなわち音の鳴っていない時間により音楽表現を深く・豊かにしているという共通の特徴があるのではないかと思います。

そして、この部分に音楽の魅力を感じている者にとっては、ジャズとクラシックはまさに宝の山に見えるのです。

かく言う私もその一人というわけです。

さて、本ブログでこれまでジャズと他の音楽ジャンルとの関係をテーマとする場合、当該ジャンルの曲をジャズにアレンジした作品や、そのジャンルのテイストが強く感じられる演奏などをご紹介してきました。

今回のテーマについても、ジャズ・ミュージシャンが「ジャズ」として演奏しているクラシックの曲はあるのですが、原曲と同等以上の魅力を放つものはほとんど見当たらないように思います。

これはあくまでも私の趣味の問題なのですが、そのような気持ちでの紹介は腰が重くなってしまうので、今日は少し趣向を変えて、ジャズとクラシック両分野で活躍したアーティストを取り上げてみることにします。

そのようなアーティストとして真っ先に名前を挙げなければならないのは、ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)でしょう。

ガーシュインは元々ジャズ・ピアニストとして活動していましたが、1920年代以降、作詞家の兄アイラと組んでレビューやミュージカル向けのポピュラー・ソングを数多く生み出していき、スタンダード・ナンバーとして現在まで生き続けている曲も少なくありません。

中でも、黒人の風俗を描いたD.ヘイワード作の小説「ポーギー」を原作としたオペラ『ポーギーとベス(Porgy and Bess)』で使われた「サマータイム(Summertime)」は特に有名です。

このように華々しい活動を展開する一方、ガーシュインはクラシック音楽にも取り組み、その成果は1924年2月12日にエオリアン・ホールで行われた歴史的コンサート"All American Music Concert"において「ラプソディ・イン・ブルー(Rhapsody in Blue)」として発表されたのです。

ただ、ガーシュインはこの時点ではまだラプソディ・イン・ブルーをオーケストレートするだけの力量はなく、F.グローフェという作・編曲家の手を借りての披露でした。

オーケストラでの演奏としてはL.バーンスタインの有名なパフォーマンスがありますが、ここではガーシュイン自らがピアノを弾いている版をご紹介しておきます。

G.ガーシュイン 『ガーシュイン・プレイズ・ラプソディ・イン・ブルー』

続いてご登場願うのは、アンドレ・プレヴィン(Andre Previn)。

プレヴィンは早熟型のアーティストで、10代からすでにジャズ・ピアニストとしてのキャリアをスタートさせています。

当時全盛だったビ・バップスタイルの演奏で注目され、その後、50年代の前半からはジャズと平行して大手の映画会社MGMと契約し、数多くの映画で作曲や編曲・音楽監督を務めました。

その成功は華々しいもので、『恋の手ほどき('58)』『ポーギーとベス('59)』『あなただけ今晩は('63)』『マイ・フェア・レディ('64)』と、実に4度のオスカーを受賞しています。

クラシックの分野では、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督であったモントゥーに師事し、1962年にセントルイス交響楽団を指揮したのを皮切りに、ロンドン交響楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団といった名門オーケストラの主席指揮者としてキャリアを重ねていきました。

そのため、現在ではプレヴィンをクラシック畑の芸術家と思っている人の方が多いかもしれません。

私がはじめてプレヴィンを知ったのも、彼が演奏するモーツァルトのピアノ協奏曲のCDによってでしたが、次の作品ではジャズ・アーティストとしてのプレヴィンのピアノを堪能することができます。

A.プレヴィン 『キング・サイズ(King Size!)』

本日のトリは、トランペッターのウィントン・マルサリスにつとめてもらいましょう。

父親がピアニスト・作曲家・音楽教師だったエリス、兄弟にデルフィーヨとブランフォードというジャズ・ミュージシャンがいる音楽一家に生まれ育ったマルサリスは、6歳でトランペットを手にしたときからミュージシャンへの道を歩み始め、ニューオーリンズ交響楽団やマーチング・バンドなどでの活動を経て、バークシャー音楽センターとジュリアード音楽院という名門で知識・技術両面での基礎を確実なものとしました。

その後はアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに参加し、さらにハービー・ハンコックやロン・カーターといった一流どころのもとでツアーやレコーディングを体験し、それらを栄養分とした自らの作品を発表することで、ジャズ・シーンにおける確固としたポジションも獲得していったのです。

また、70年代に登場して一世を風靡したフュージョンにより失われかけたジャズの伝統を見直し、4ビートジャズの復権をめざした「新伝承派」の旗手として、歴史的にも重要な役割を果たしたことも忘れてはなりません。

そして、1984年にはレイモンド・レパード指揮のもと、ロンドン交響楽団と共演し、このことが史上初のジャズ・クラシック両分野でのグラミー賞獲得という栄誉につながったのです。

以下のCDでは、マルサリスが古典作品を「クラシック」として吹いていますが、その艶やかな演奏を聴けば、彼がクラシック音楽の世界でも十分評価に値するプレイヤーであることがわかると思います。

W.マルサリス 『クラシック・ウィントン(Classic Wynton)』
ジャズの魅力(3) −ジャズとボサノヴァ−
「太陽の国」、ブラジル。

そのブラジルの音楽として、多くの人の頭に真っ先に浮かぶのは「サンバ(Samba)」でしょう。

サンバの色彩感豊かなメロディーと強烈なリズムは、リオのカーニヴァルのイメージとともに世界中に広く知れ渡っています。

それにくらべると、ボサノヴァ(ボサノバ)という言葉の認知度はそれほど高くないかもしれません。

ボサノヴァもブラジル音楽を代表するジャンルの一つで、1950年代の後半、リオ・デ・ジャネイロのコパガバーナやイパネマといった海岸地区に住むミュージシャンの手によって生み出されました。

ボサノヴァの誕生に中心的な役割を果たしたのは、歌手・ギタリストのジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)と作曲家・編曲家のアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Brasilero de Almeida Jobim)、そしてブラジル政府の外交官・ジャーナリストでもあった異色の詩人ヴィニシウス・ヂ・モライス(Vinicius de Moraes)の三人。

自分自身が属する新しい時代の繊細な感性を表現する形式としてサンバに限界を感じたジルベルトは、そのころ居候していた姉の家で、バスルームの高温多湿の環境がギターに独特の音色を与えることに気づき、何日もそこに閉じこもって試行錯誤を続けた結果、それまでになかったギター奏法を確立することに成功したのです。

このジルベルトが、すでに当時売れっ子作曲家として活躍していたカルロス・ジョビン、さらにモライスと出会い、「想いあふれて(Chega de Saudade:チェガ・ヂ・サウダーヂ)」を発表すると、その洗練されたサウンドと繊細な詞、ささやくような歌唱法は人々の心を強く捉え、ボサノヴァはまたたくうちにブラジル全土へと広がっていきました。

ちなみに、ボサノヴァ(Bossa Nova)とはポルトガル語で「新しい流れ」「新しい傾向」といった意味で、「想いあふれて」の詞の中からピックアップされて、そのまま「新しい」音楽形式の名称として使われるようになったのです。

その後、ボサノヴァはブラジルから世界へと羽ばたくことになりますが、そのきっかけは二つあるといってよいでしょう。

まずは、先に「朝のジャズ」でもご紹介した映画『黒いオルフェ』。

もう一つは、スタン・ゲッツ(Stan Getz, ts)がチャーリー・バード(Charlie Byrd, g)とともに制作したアルバム『ジャズ・サンバ(Jazz Samba)』。

このタイトルからも、まだボサノヴァという言葉が定着していなかったことがわかります。

そして、『ジャズ・サンバ』に続いてゲッツがジルベルトとの競演でリリースした『ゲッツ/ジルベルト(Getz/Gilberto)』、特にその中の一曲「イパネマの娘」の大ヒットにより、「ジャズ・ボッサ」と呼ばれる音楽のジャンルが市民権を得ることになったのです。

さて、ジャズに新たな光を与えたボサノヴァですが、その創始者ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンらは、ボサノヴァを誕生させる前にチェット・ベイカー、ジェリー・マリガンといったウェストコースト・ジャズの影響を受けたといわれています。

これからますます暑さが厳しくなるでしょうが、「ジャズ・ボッサ」を聴くと暑さもまたいいものに思えてくるから不思議です。

S.ゲッツ&J.ジルベルト『ゲッツ/ジルベルト』S.ゲッツ&J.ジルベルト 『ゲッツ/ジルベルト』

C.ホーキンス『デサフィナード』C.ホーキンス 『デサフィナード(Desafinado)』

C.アダレイ『キャノンボールズ・ボサノヴァ』C.アダレイ 『キャノンボールズ・ボサノヴァ(Cannonball's Bossa Nova)』
ジャズの魅力(2) −ジャズとブルース−
ジャズと他のジャンルの音楽とのかかわりを小テーマとして、「ジャズの魅力」のカテゴリーの中で書いてみたいと思います。

今回はその一回目、「ジャズとブルース」です。
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ジャズの歴史(1) −誕生と確立−」でご紹介したように、ジャズはいろいろな音楽の交流の中から生まれました。

そして、その重要な要素の一つに「ブルース(blues)」があります。

そのため、ジャズが誕生してから今日まで、時代によりさまざまなスタイルの流行りや廃れがあった中でも、ブルース・フィーリングを強く感じさせる名曲というものが絶えることなく生み出されてきたのです。

ところで、ブルースとは何でしょうか?

サイトの性格上、ここでブルースの発展過程や楽理についての詳述はしません(専門外の私にはできもしません)が、その特徴だけは簡単にご紹介しておきたいと思います。

まず、「悲しいことを明るく歌う」という点。

これは、伝統的なクラシック音楽の基本概念である調性から逸脱した「ブルーノート」の、長調でも短調でもない独特の響きによってもたらされます。

また、「4×3=12小節を1つの単位として音楽が展開されていく」といったことも、ブルースの基本形式として重要です。

ブルースを少し注意して聴いてみれば、これらの特徴を捉えることができると思います。

ですが、もっとも感覚的に「わかる」のは、その「うねるようなリズム」でしょう。

曲によって程度の差はありますが、そのリズム、特にベースが生み出すリズムから、ブルースのフィーリングを感じ取ることができるはずです。

では、聴いてみましょうか。

一曲目は、レッド・ガーランド・トリオによる、D.エリントンの名曲「Cジャム・ブルース(C Jam Blues)」。

伸び縮みするゴムのようなポール・チェンバースのベースと、レッド・ガーランド(Red Garland, p)の弾く滑らかなメロディーラインとの絡み合いが絶妙ですね。

二曲目はミルト・ジャクソン(Milt Jackson, vb)が作曲した「バグス・グルーヴ(Bags' Groove)」。

マイルス・デイビス(Miles Davis, tp)をはじめとするジャズの巨人たちの有名なクリスマス・セッションでどうぞ。

この試聴サンプルは曲の出だし部分なので、ブルースの「4×3=12小節」形式を確認しやすいと思います。

本日最後にご紹介するのは、鬼才セロニアス・モンク(Thelonius Monk, p)の「ブルー・モンク(Blue Monk)」。

モンクがJ.コルトレーンと1957年にカーネギーホールで行った伝説的ライブのプレイです。

ちなみにこの曲、あまり知られていませんが、モンク自身による詞も残されています。

Goin' alone, life is your own,
But sometimes the cost is dear.
Bein' complete, knowin' defeat,
Keepin' on from year to year.
It takes some doin'.
Monkery's the blues you hear,
Keepin' on from year to year.

一人で、自分の人生を生きてゆこう、
ときどき、高くつくこともあるけれど。

まさにモンク、これぞブルースといったフレーズではないでしょうか?

※上の各曲はそれぞれ次のCDに収録されています。

レッド・ガーランド 『グルーヴィ(Groovy)』レッド・ガーランド 『グルーヴィ(Groovy)』

マイルス・デイビス 『バグス・グルーヴ(Bags Groove)』マイルス・デイビス 『バグス・グルーヴ(Bags Groove)』

T.モンク&J.コルトレーン 『アット・カーネギー・ホール(At Carnegie Hall)』T.モンク&J.コルトレーン 『アット・カーネギー・ホール(At Carnegie Hall)』