ジャズ初めの一歩
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魅惑のジャケット(6) −風景−
今回は、「魅惑のジャケット」シリーズの第6弾として、風景をデザインの中心にすえたアルバムをご紹介したいと思います。

ジャズ・レーベルの創始者というものは、ジャズに対する強い思い入れがあり、それが嵩じてレーベルを作ってしまったという人がほとんどなわけで、当然、そこからリリースされる作品にも、それぞれのカラーが自ずから出てくるようです。

これはアルバムジャケットのデザインについても当てはまり、各レーベルのアルバムをつらつらと眺めていると、色の使い方やモチーフなどに、独自の傾向といったようなものが見えてきます。

今テーマとしている風景に関して言えば、ジャズのアルバムジャケット全体からすればかなりマイナーなモチーフですが、プレスティッジ(Prestige)とヴァーヴ(Verve)の両レーベルには、風景をジャケットにあしらった作品が比較的よくみられます。

では、早速アルバム紹介に移りましょう。

一枚目は、帝王マイルス・デイビス(Miles Davis, tp)の『ザ・ニュー・マイルス・デイビス・クインテット(The New Miles Davis Quintet)』。

M.デイビス『ザ・ニュー・マイルス・デイヴィス・クインテット』M.デイビス 『ザ・ニュー・マイルス・デイヴィス・クインテット』

1955年に録音されたこのアルバムは、マイルスがJ.コルトレーン、R.ガーランド、P.チェンバーズ、P.J.ジョー・ジョーンズという錚々たるメンバーを集めて結成した「オリジナル・クインテット」による最初の作品です。

グループ結成直後ということもあり、このアルバムの主役はあくまでもマイルスで、他のメンバーはでしゃばることなくマイルスのサポート役に徹しているといった演奏ですが、それだけ一層、マイルスのリリカルなミュート・プレイの魅力が引き立っており、アルバム全体を流れるリラックスした雰囲気と相まって、「小川のマイルス」と呼ばれて根強い人気を誇る名盤となっています。

また、翌'56年にジャズ史全体を通じても他に例がないほどのパフォーマンスを示すグループの基礎となった作品として、その歴史的価値も高いといえるでしょう。

二名目のアルバムは、モダン・ジャズ・カルテット(Modern Jazz Quarte:M.J.Q.)の傑作『コンコルド(Concorde)』。

M.J.Q.『コンコルド』M.J.Q. 『コンコルド』

クラシック音楽、特にバッハに傾倒していたピアニストのジョン・ルイス(Jhon Lewis)が、ヴィブラフォン奏者のミルト・ジャクソン(Milt Jackson)とともに結成したM.J.Q.は、メンバー全員がスーツにネクタイというジャズメンらしくないきちんとした身だしなみをし、その演奏についても、ジャズの必須要素とされていたアドリブを排除し、計算されたアンサンブルの妙を聴かせるという、クラシックの室内楽を思わせる特異なものでした。

そのため、本国アメリカでは当初「バロック・ジャズ」と揶揄されましたが、クラシック音楽に対する親しみが強いヨーロッパで熱烈な支持を受けると、アメリカ人もその魅力に気付き、次第に高く評価されるようになったのです。

『ジャンゴ(Django)』と並ぶM.J.Q.の代表作であるこの『コンコルド』は、ピアノとヴィブラフォンという、一見たがいに干渉してしまいそうな2つの楽器に、全体の調和を保ちながらそれぞれの持ち味を発揮させるという離れ業が堪能できる作品だと思います。

さて、本日最後のアルバムは、ジョニー・グリフィン(Jhonny Griffin)の『ウェイ・アウト!(Way Out!)』です。

J.グリフィン『ウェイ・アウト!』J.グリフィン 『ウェイ・アウト!』

本来ならアルト・サックスを吹くべき小柄な体格だったにもかかわらず、「ジャズはテナーだ!」との強い思いからテナー・プレイヤーとなったことから、「リトル・ジャイアント」と呼ばれるグリフィン。

彼の魅力は、何といってもその心意気(?)が現れているかのような豪快かつスピーディな演奏にあるといってよいでしょう。

しかし、このアルバムでは、ケニー・ドリューの流れるようなピアノをバックに、豪快さはそのまま、それでいて気品すら感じさせる端正な演奏を繰り広げるグリフィンを聴くことができます。

シカゴにゆかりの深いアーティストの作品を並べたことは、シカゴ出身のグリフィン、およびベースのウィルバー・ウェアにとって何か特別な思い入れがあったのかもしれません。

いずれにせよ、ジョニー・グリフィンの最高傑作として数えられる一枚であり、さらにハードバップ・ジャズを語るときにも欠くことのできないアルバムです。
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