ジャズ初めの一歩
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今月の1枚(2) −キャノンボール・アダレイ 『サムシン・エルス(Somethin' Else)』−
今回は、先月からはじめた新シリーズ「今月の1枚」の第2回。

ご紹介するのは、ジュリアン・"キャノンボール"・アダレイ(Julian "Cannonball" Adderley, as)の『サムシン・エルス(Somethin' Else)』です。

このアルバムは、「ジャズの名盤」が語られるときには必ず名前のでる作品であり、ブルーノート・レーベルの数ある作品の中でも傑出した一枚と言ってよいでしょう。

パーソネルはキャノンボールのほか、マイルス・デイビス(Miles Davis, tp)、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones, p)、サム・ジョーンズ(Sam Jones, b)、アート・ブレイキー(Art Blakey, ds)という錚々たるクインテット。

マイルスがリーダーとしてではない形でクレジットされている珍しい作品なのですが、これはあくまでも契約上の関係からのことで、実質的にはマイルスが音頭をとり、弟分のキャノンボールに華をもたせるために吹き込んだ作品とされています。

実際、クレジットを目にすることなくアルバムを聴いてみれば、誰でもマイルスのリーダー作だと思うに違いありません。

マイルスが抑制されたトランペットでしっかりとした下絵を描き、その上にキャノンボールが華やかなアルトサックスで彩色する…収録された各曲からはそんな印象を受けます。

そのバランスは絶妙で、これがもし早吹きのトランペットだったとしたら、ガシャガシャとうるさい駄作に終わってしまったことでしょう。

それから、圧倒的な存在感を示すホーンの二人に隠れてしまいがちですが、リズムセクションも忘れてはなりません。

ハンクとサムのコンビには、例えばR.ガーランドとP.チェンバースのような「都会のダンス」といったお洒落な魅力はありませんが、「田舎の踊り」がもつ素朴な趣にあふれており、骨太で力強い演奏により、前面の二人を強力にサポートしています。

また、ブレイキーは「ハード・ヒッター」の代名詞的ドラマーですが、このアルバムでは他のメンバーとの兼ね合いを考慮してのことでしょう、ブラシを効果的に使ったプレイを披露しており、彼の別の一面を知ることができます。

収録されているのは次の6曲。

01. 枯葉(Autumn Leaves)[Joseph Kosma, Johnny Mercer, Jacques Prevert]
02. ラブ・フォー・セール(Love For Sale)[Cole Porter]
03. サムシン・エルス(Somthin' Else)[Miles Davis]
04. ワン・フォー・ダディ・オー(One For Daddy-O)[Nat Adderley, Sam Jones]
05. ダンシング・イン・ザ・ダーク(Dancing in The Dark)[Howard Dietz, Arthur Schwartz]
06. アリソンズ・アンクル(Alison's Uncle)[Hank Jones]

このセレクションはキャノンボールが行ったとされていますが、非常にバランスのとれた名選です。

トップにおかれた「枯葉」はあまりにも有名で、実際、ここでのマイルスのミュートプレイがアルバム全体の基本的な色調を規定しているように思います。

1958年3月9日という録音日にかかわらず「秋」の雰囲気に満ちているのはそのためではないでしょうか。

もちろん、他の曲もそれぞれ固有の「聴き所」をもっており、収録時間はあっという間に過ぎ去ります。

なお、5曲目の「ダンシング・イン・ザ・ダーク」は、アルバム中唯一マイルスが参加せず、カルテットで奏されていますが、やはりこれだけは他とは違って非常にリラックスした演奏となっており、このことからもマイルスの影響力がいかに大きいかがみてとれます。

6曲目の「アリソンズ・アンクル」はオリジナル盤には含まれておらず、後にボーナストラックとして追加されたもの。

この手の措置はアルバム全体の構成を崩すことが多いのですが、ここでは全体を通しで聴いてみてもまったく違和感を感じないほど溶け込んでいるように思います。

それにしても、こんなすばらしい音楽が千円札一枚で聴けるなんて、いい時代になったものですね。

キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』キャノンボール・アダレイ 『サムシン・エルス(Somethin' Else)』
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