ジャズ初めの一歩
「ジャズを聴いてみたいけれど、何から始めればいいか分からない」といった人たちに、ジャズの特徴や代表的アーティスト、名曲・名盤などの情報を提供するブログです。ご一緒にジャズを楽しみませんか?
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ジャズ・アルトサックスプレイヤー −「バード」の系譜−
こんばんは。
銀猫です。

ジャズの代表的アーティストをテーマとして、これまでヴォーカリスト・ドラマー・ベーシスト・ピアニスト・トランペッター・テナーサックスプレイヤーとご紹介してきましたが、このシリーズも残りあと二回です。

大詰めに差しかかった今回はアルトサックスプレイヤー。

ジャズ・シーンにおいて、アルトサックスはテナーサックスに比べると多少人気に劣るかもしれませんが、重要な位置を占める楽器であることに間違いはありません。

このように言わしめる大きな理由の一つが、アルトサックスプレイヤー チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の存在です。

パーカーが1940年にニューヨークへ活動の拠点を移した時、そこではトランペッターのディジー・ガレスピーが中心となって即興演奏に主眼をおいたビバップと呼ばれる演奏を精力的に繰り広げていました。パーカーはこの渦に巻き込まれ、やがてガレスピーと共にビ・バップ・スタイルを完成させてモダン・ジャズへの扉を開くことになるのです。

このようにジャズに革新をもたらしたパーカーですが、彼のプレイの特徴は、実験的香りが少なく、あくまでも優雅でメロディーに富んでいるという点にあり、これが多くのジャズ・ファンを魅了してモダン・ジャズの隆盛をもたらしたと言ってよいでしょう。

今日の一曲目はパーカーがオーケストラと競演したアルバム『チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス (Charlie Parker With Strings)』から「イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー (If I Should Lose You)」をおおくりします。

なお、パーカーの愛称「バード(bird)」もしくは「ヤード・バード(yard bird)」は、彼が食うに困ってジミーズ・チキン・シャックというレストランで働いていたとき、とんでもない数のチキンを平らげたこと、およびそこの裏庭でサックスの練習に励む姿に由来しています。

続いてはポスト・チャーリー・パーカーとも呼ばれたジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)。

マクリーンの特徴は、さまざまなジャズのスタイルに積極的に取り組み、そのいづれをも自家薬籠中のものにした器用さにあります。

ビバップを皮切りに、より力強いハード・バップ、M.デイビスが確立したクール・ジャズなどを経て、後にはフリー・ジャズにも傾倒しましたが、中でもハード・バッパーとして活躍した時代が高く評価されています。

その時代の代表作の一つ『4, 5 アンド 6 (4, 5 and 6)』から、有名な「センチメンタル・ジャーニー (Sentimental Journey)」をお聴きください。

硬質な音色と型破りなアレンジが、曲に新たな表情を与えています。

もう一人、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)をご紹介してアルトサックスプレイヤーの章を閉じることにしましょう。

キャノンボール(砲丸)とはもちろんあだ名であり、彼の巨大な体躯と迫力満点の演奏からきていますが、本名はジュリアン・アダレイというまったく印象の違うものです。

ジャッキー・マクリーンのことを「ポスト・チャーリー・パーカー」と紹介しましたが、55年にマクリーンとアダレイがあるセッションに飛び入り参加した際、音量とテクニックの双方でアダレイがマクリーンを圧倒してしまい、それ以降「ポスト・チャーリー・パーカー」の称号はアダレイに引き継がれました。

アダレイのジャズは「ファンキー・ジャズ」といわれるスタイルで、明るくおおらかな雰囲気に満ち溢れています。

本日最後の曲は名盤中の名盤『サムシン・エルス (Somethin' Else)』の中のバラード「ダンシング・イン・ザ・ダーク (Dancing In The Dark)」です。

この演奏からもアダレイの特徴がお聴き頂けるのではないでしょうか?

※今回ご紹介した曲はそれぞれ次のCDに収録されています。
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チャーリー・パーカー『チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス』CDの画像チャーリー・パーカー 『チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス』

ジャッキー・マクリーン『4, 5 アンド 6』CDの画像ジャッキー・マクリーン 『4, 5 アンド 6』

キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』CDの画像キャノンボール・アダレイ 『サムシン・エルス』
ジャズ・テナーサックス・プレイヤー(2) −重厚なるサウンド−
ご機嫌いかがですか?
この一週間ですっかり秋の気配になりましたね。

前回に続き、今日はジャズの代表的テナーサックス・プレイヤーのご紹介です。

スタン・ゲッツとズート・シムズは共にレスター・ヤングの影響を受けていることもあり、その演奏には共通の特徴があります。

3人ともテナーとしてはやや軽やかな印象のプレイを得意としているのです。このことは、試聴をされた方には納得いただけるものと思います。

先の3人と比較しようというわけではありませんが、今回取り上げるのはいずれも「これぞテナー」といった重厚な音を響かせるアーティストです。

その一人目はハンク・モブレー(Hank Mobley)。
モブレーは「朴訥で堅実」という形容がふさわしいプレイヤーであり、超絶技巧や華やかさとは縁遠いため、第一級の賛辞を得ることはありませんでしたが、逆にその不器用さ・野暮ったさに、えもいわれぬ魅力があることも否定できません。

このようなモブレーの特徴から、彼は「愛すべきB級テナー」と評されますが、中には「ミスター・テナーマン」と呼んでその音楽性を高く評価しているファンも少なくありません。特に、日本では非常に高い人気を博しています。

モブレーの代表作の一つ、『ソウル・ステーション』から「リメンバー(Remember)」をまずお聴き頂きましょう。

さて、ジャズ・テナー奏者の紹介もあと残り二人となりました。
そうなれば、二大巨人をご紹介しない訳にはいきません。

ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンです。

この二人は単にテナー・サックス・プレイヤーの範囲にとどまらず、ジャズ・シーン全体においても重要なアーティストであり、両者の性格・演奏の特徴のコントラストからお互いによく比較されます。

ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)は「インプロヴァイザー(improvisor)」、すなわち「即興演奏家」という言葉がふさわしいアーティストで、機知に富んだ臨機応変な演奏は彼の独壇場であり、時に延々と続く即興はファンはもちろん、競演するアーティストをも魅了するものでした。

しかも、ロリンズのアド・リブ(ad lib)は単に曲芸的なものではなく、ほとんどが芸術の域にまで高められているという点にも彼の凄さがあるのです。

また、それまで必須と考えられてきたピアノを除いたセッションを組んで成功を収め、ジャズの可能性の拡張にも少なからぬ貢献をしました。

57年に録音されたそのようなピアノレス・トリオ(テナーサックス・ベース・ドラムス)の傑作『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』から「フォー(Four)」をお聴きください。

一方のジョン・コルトレーン(Jhon Colrane)は「求道者」と呼ばれ、ジャズの精神性を深く追求したアーティストです。

マイルス・デイビスのグループに参加した55年の時点では十人並みのプレイヤーでしたが、コルトレーン自身のジャズに対する真摯な姿勢とマイルスの薫陶とがみごとな花を咲かせ、57年にはテナーサックスの特徴である朗々たる音色を存分に活かした"sheets of sound"(音の洪水)と形容される演奏スタイルとして結実しました。

その後もマイルスをはじめとする他のアーティストのセッションへの参加やリーダーとして精力的な活動を展開しましたが、67年にわずか40歳の若さでこの世を去ったのです。

しかし、コルトレーンのジャズは死に絶えることなく、彼の影響を受けていないジャズ・テナーサックス・プレイヤーはいないとまで言われています。

コルトレーンの特徴が遺憾なく発揮された「モーメンツ・ナーティス(Moment's Notice)」を聴きながら、ジャズ・テナーサックス・プレイヤーのシリーズを締めくくることにしたいと思います。

追伸:ロリンズは2005年10月の今もまだ現役(!)ですが、すでに引退を表明しており、そのラストコンサートが今月末から来月初めにかけて日本で行われます。詳細は以下のURLをご参照ください。
http://www.jec-international.co.jp/event/event_Sonny.html


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ハンク・モブレー『ソウル・ステーション(Soul Station)』CDの画像ハンク・モブレー 『ソウル・ステーション(Soul Station)』

ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜(Night At The Village Vanguard)』CDの画像ソニー・ロリンズ 『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜(Night At The Village Vanguard)』

ジョン・コルトレーン『ブルー・トレイン(Blue Train)』CDの画像ジョン・コルトレーン 『ブルー・トレイン(Blue Train)』
ジャズ・テナーサックスプレイヤー(1) −特徴の底流−
こんばんは。
銀猫です。

ジャズの代表的アーティストのシリーズの続きとして、トランペッターの次にご紹介するのはジャズ・テナー・サックス奏者です。

はじめにごく初歩的なことをいくつか。

まず、サックス(sax)とはサキソフォン(saxophone)という楽器の略称であり、ピアノ奏者はピアニスト、トランペット奏者はトランペッターと呼ばれますが、サックス奏者のことはサキソフォニスト(saxophinist)、またはサックス(サキソフォン)・プレイヤーといいます。
でも、前者は日本ではあまり聞かれませんね。

次に、テナー・サックスと共にアルト・サックスという楽器の名前もよく耳にされることと思いますが、テナー、アルトというのはご存知の通り音域をあらわす言葉で、高い音域から並べるとソプラノ、アルト、テナー(テノール)、バリトン、バスとなります。
そして、サックスはアルト、テナー以外にも各音域を担うものがあるという特徴を持っているのです。

さて、前置きはこれくらいにしてしてアーティストの紹介に移りましょう。

まずは二人のプレイヤーの演奏を一曲ずつお聴きください。
スタン・ゲッツ(Stan Getz)の「トゥ・マーベラス・フォー・ワーズ(Too Marvelous for Words)」とズート・シムズ(Zoot Sims)の「ホワイ・クライ(Why Cry?)」です。
※曲名をクリックするとサンプルを聴くことができます(予めRealPlayerをインストールしてください)

ゲッツはウェスト・コースト・ジャズを代表するアーティストの一人であり、その演奏には西海岸の特徴であるリラックスした雰囲気と乾いた明るい音色が溢れています。

一方のズートはアメリカ大陸の反対側、イースト・コーストのジャズ・プレイヤーらしく親しみやすいメロディーとなめらかでしっとりした音感のプレイを存分に聴かせてくれています。

でも、両者には不思議と似たところもあると思いませんか?

実は、この二人が共に影響を受けた共通のテナー・サックス奏者がおり、その底流が両者の演奏に共通の魅力を与えているのです。
レスター・ヤング(Lester Young)がその人です。

ヤングは非常に繊細な感性の持ち主で、女性的とも評された歌心に富むプレイによりカウント・ベイシー・オーケストラの看板スターとして30, 40年代に華々しく活躍しましたが、その神経の細さが災いしてか、50年代に入ると惜しいことにアルコールなどの問題で次第に精細を欠いていきました。

今日は彼の最後の輝きともいうべき作品『ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ(With Oscar Peterson Trio)』から「オルモスト・ライク・ビーイング・イン・ラブ(Almost Like Being in Love」をお聴きいただきましょう。

ヤングのジャズの特徴が小編成セッションで遺憾なく発揮されている名演です。


※今回ご紹介した曲はそれぞれ次のCDに収録されています。
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スタン・ゲッツ『カルテッツ』CDの画像スタン・ゲッツ 『カルテッツ(Quartets)』

ズート・シムズ『ズート!』CDの画像ズート・シムズ 『ズート!(Zoot!)』

レスター・ヤング『ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ』CDの画像レスター・ヤング
『ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ(With Oscar Peterson Trio)』